2026/06/10 22:15









ブログを借りてパンをオススメしていこうか、ってなっていたのですが、


せっかくだから、ちょっと密かにモヤモヤしてたことを言ってみようかなと…




世の中の、「メロンパン」に対する評価ってイマイチ低くないですかね?




「いや、そんなことないよ!メロンパンは凄いよ」



と思ってくださった方はありがとうございます。同士です。

目の前にいらっしゃったら握手を交わしたいです(笑)




言いたいことは、好きか苦手かの好みについての話ではなく、

パンにおける王道のド定番でありながら、

イメージは比較的安くてどこのパン屋さんにでもあるやつ、

いわゆる「普通のパン」のカテゴリーに入れられてるんじゃないかと。





いや、とんでもねぇ(笑)




言わせてください。

アイツは無害そうに見えるけどとんでもねぇやつなんですよ。




サクッとしててほんのり甘い、あの上のクッキー生地、皆さんお好きでしょう?


メロンパンを選ぶ人であれが嫌いな人はまずいないと思うんですよね。


でも、中身のパン生地にはなかなかシビアでしょ?


苦手な方は、あの中身のパン生地がパサパサしてて、

口の中の水分が持ってかれるのがちょっと…ってところからメロンパンが苦手になるでしょう?




ここ!ここが職人泣かせのとんでもねぇところなんですよ!(笑)




そう、ここで気付いてくださった方もいるかと思いますが、


メロンパンって



「今からふわふわに膨らませるよ~」

っていう柔らかいパン生地と、


「サクッとした食感になるようにしっかり焼いてね」

っていう重たいクッキー生地、



「2種類の生地を同時に焼いている」んですよ。




もうなに、その矛盾……物理的におかしい。




クッキー生地が重すぎるとパン生地が膨らむのを邪魔してしまう、


かと言ってクッキー生地が少なければサクッとした食感が物足りない、


パン生地をパサパサにしたくないために焼き時間を短くするとクッキーが生焼けっぽくなる、


生焼けっぽくならないようにしっかり焼くとパン生地の水分も抜ける…




あーーーー!!!って、まさに職人にとっては発狂ものの難題です。

ましてや、うちの店はレーズン発酵種のみで焼いてますからね。




■ 自家培養の発酵種はリッチ系のパンは苦手




イーストならね、発酵力に特化したエリート達なのでリッチなパンでも難なく膨らむんですよ。


でも、レーズン発酵種はそうはいかない。



エリート達がひょいと軽く持ち上げて膨らませるのを、

レーズン発酵種達はめちゃくちゃ努力してやっと持ち上げられる。



でも苦手だから出来ません、では発酵種達の可能性を潰すことになる。


いや、きっと彼らなら乗り越えられるはず…!




まずは現状把握のために試しに焼いてみる。


膨らみはしたものの、やはり高さは十分ではない。

これではメロンパンのビジュアルとして合格はもらえない。


発酵種だもんね、みたいなお情けは逆に彼らの尊厳を傷つける。

それは彼らのポテンシャルを活用しきれなかった自分の技術不足のせい。



■ さて、どうする?



発酵種達ができるだけ楽に持ち上げやすくするためには、酵母達の仲間を多く確保することが必要になる。


レシピの酵母液の分量をさらに増やして酵母の母数を増やす。

それだけではただ酵母の数が増えただけだから、持ち上げるための力も上げたいところ。



…ちょっと酵母達にも頑張ってもらおう。



酵母達は繊細だから…と思って甘やかし気味だったので、

やり過ぎない程度を見極めながらミキシングを多めにして、

グルテンを形成させることにより筋肉を増やしてみるイメージで鍛え上げる。



そんな調整を何度も繰り返しながらついに…きた!



窯に入れる前の見送りは不安混じりのドキドキ…


やれるだけはやった…

後は彼らを信じて託すのみ。


そして窯から戻ってきた時のその誇らしい姿!!



あぁーーー、凄い!!ちゃんと持ち上げられてる!!

高さも十分出ててフォルムがキレイ!

丸みが可愛さすら出してる!

何より「どうだ!」ってくらい誇らしげに見せてくる!

偉い!よくぞここまで頑張ったな!!



と、ちょっと彼らのこの勇姿は残さねば…と、パシャパシャとあらゆる角度からの撮影会(笑)




ふぅ…ちょっと感動のあまり、柄にもなく取り乱してしまいました(笑)




まぁ、見た目はなかなか良い。

これなら合格ラインではある。

後は食感と美味しさだ。






半分にカットしてみて断面のチェック。

ちゃんとふんわりしてるし、生地もしっとりしてる。

これは酵母達のおかげだな。



そしてクッキー生地。


一般的にはメロンオイルなどで香り付けをしたりするのですが、

「バター100%で作っているからバターの香りを楽しんでもらいたい」

と、うちでは ほんのりラム酒を加えて卵特有のクセを抑え、

クッキー生地のバターの香りも、パン生地の酵母の香りなども楽しめるようにしています。



さて、どうかな…と、かぶりついてみる。



うん、表面はちゃんとサクッとしながらもクッキー生地のバターの優しい香りと、

表面にかけておいたビートグラニュー糖が熱で少し溶けて固まったのが、

ガリッとした食感と甘さを楽しませてくれる。


そして、パン生地もふんわりしっとり柔らかく食べやすい。


何より、噛んだ時にパン生地が抱え込んでいる香りが抜けるからか

それが口の中に広がって、優しい味わいから酵母の味わいへと変わっていくのがまた面白い。


思わず鼻から抜けていく香りを戻すように、いつもより多めに鼻から息を吸い込んで戻すくらいに(笑)



って、思いながら食べてるとあっという間に半分なくなってしまった。

やられた…。これはもう完全にこちらの負けだ。

「合格」だと言わざるを得ないだろう。




本当に、いつも発酵種達からは新しい発見をもらう。



しっとりふんわりさせながらも、

重いクッキー生地をあんなに持ち上げられるまでになれる。

それだけに終わらず噛んでいくうちにもちもちすら楽しませてくれる。


これだから酵母でのパンづくりは本当に面白い!




……結局、全部食べてしまったな(笑)







それからも、メロンパンが焼きあがる度にその可愛さにはいつもテンションがあがる。



このビジュアルの可愛さとかを他の人にも見てもらいたい!



そうだ、自分用にもInstagramのアカウント作ったのはいいけど、

何を投稿すれば良いか迷ってたからそこに投稿して見てもらおう!



と、懲りずにパシャパシャするもののふと我に返り、


(いや…メロンパンばっかりになってもこの店主どうした?ってなるか…。)


と、結局投稿しないで終わることがほとんどで、

フォルダーには主にバゲットとメロンパンの写真が増えていくばかり。





って、今回も長くなってしまったので、最後にひとつだけ。



たかがメロンパン、されどメロンパン。



どこのメロンパンにも、職人の技術と酵母の努力が詰まっています。


これからパン屋さんでキレイなフォルムのメロンパンに出逢ったなら、

それは酵母達が頑張って持ち上げた証でもあるので、

ぜひ厳しい目でジャッジしてやってください(笑)