2026/06/08 10:00

>ブログを借りて、一つずつオススメしていくのもアリなのでは…?
なら、人にススメられない、自慢できないほどのパンなのか?と問われたら絶対それはないので、
気恥ずかしさは一旦横に置いておいて、やっぱりブログを借りてお話していこうかと思います。
(目の前でしどろもどろで喋るよりは、ここで書くほうがおそらくちゃんとお伝えできるので…笑)
■ 今回お話していくのは「バゲット」です
やっぱりね、どうしてもこれを話さないと他の話はできないと思いまして。
さて、バゲットの生地は、
「小麦粉・水・酵母・塩」と、これが基本的な材料となります。
シンプルな材料だからこそ、小麦粉の選定、配合のバランス、技術的な製法の違いなど、
「職人の技術が光るもの」だと言われているのがバゲットです。
ここから少し修行時代の話をさせてください。
今の時代では考えられないでしょうが、
20年~30年前くらいの修行時代の現場はそれはもう見事な縦社会でして、
先輩・上司の言うことは絶対!!みたいなね、本当に厳しい環境でした。
(今ではブラックって言うのかな…笑)
右も左もわからず飛び込んだ世界で、
ボロ雑巾のように扱われたままで終わるなんてのは癪なので、
毎日必死に、なんとか食らいつきながら続けていくと、
任せてもらえることが少しずつ増えてきました。
当時、修行させてもらっていたお店は連日たくさんのお客様で賑わっていたので、
職人が細かくポジションに分かれて、流れるようにひたすらパンを焼き上げていく、
そんなスタイルだったんですね。
そして、いろいろなポジションを経験して次に任されたのが…
先輩が成形したバゲット生地にクープ(切り込み)を入れて焼成していくポジション。
このプレッシャーの凄まじさ、わかります?(笑)
「先輩が成形した生地にクープを入れる」、ですよ?
切り込みを入れる角度や深さがズレて失敗して、
下手な仕上がりにでもなったら間違いなく降ろされる。
もう二度と生地にすら触らせてもらえなくなるんじゃないか…みたいな不安と怯えの中で、
針の糸を通すかのように神経を研ぎ澄ませながら素早くクープを入れていく…
離れたところにいる先輩の鋭い視線に心臓をバクバクさせながらも作業は続けていき、
チラッとだけ確認しに来た先輩が何も言わずまた戻っていく……そこでようやく
「ほっ…」と肩の力が少し抜ける。
みたいな日々が続いていたある日、その先輩から
「お前が一番クープ入れるの上手いからな。
お前がやるなら安心して成形したの任せられるわ」
って、ポロッと言ってくれたんです。
正直、耳を疑いました(笑)
当時の上下関係って本当に厳しくて、上が下を褒めるなんてことはほぼあり得ないんですよ!
だから、
(え…なんか引っかけようとしてる…?)
みたいに構えてしまったものの、
その言葉の意味がわかってくると、じわじわと嬉しさとむずがゆさが広がってきて…
あの一言はねぇ…やっぱり、もの凄く嬉しかったんですよ。
その先輩からの評価が、どれだけ自己肯定感を持ち上げてくれたことか。
そうなると、そんな評価をもらった自分であり続けたいし、
先輩に失望されたくないみたいな意識も働いたおかげで、
クープ入れから焼成、その後の成形ポジションでも人一倍バゲットに対する意識は高くなりました。
その後は店長経験なども経て、
■ バゲットに対する自信を強く確かなものとして、独立をしたんですが…
人間はどうしても自信を持ちすぎると驕ってしまう生き物なので…(笑)
そう、自信を持つこと自体は良いことなんです。
ただ、当時はまだまだ狭い世界しか知らず、だからこその「絶対的な自信」と、
「自分が作るパンは美味いから焼けば売れる!」
って、本気で思っていた「世間知らずで生意気な若僧」だったわけですよ(笑)
お店を出した当時の地域はのどかなところで、
ファミリー層から高齢者まで幅広い方が日常的に使ってくれる、そんな場所だったんですね。
まぁ、でも自分の焼いたパンならきっと喜んでもらえるはずだ!と、
開店当初は連日たくさんのお客様に来ていただいて、ますます鼻を高くしていたんですが、
落ち着いてきたら段々とお客様からの声も届くように。
「ここのバゲット、硬すぎて口の中が切れる!」
そんな声を聞いて初めは、
「バゲットはそんなもんだろう、何を言ってるんだ。」
くらいに正直思っていたのですが、
特に高齢者の方から同様の声をいただくことが多くなり、
よくよく話を聞いてみると、歯が弱くなってること、口の中も切れやすくなってることなど、
お客様視点での困り事から伝えてくれているんだということがわかりました。
ただ、自分は今のバゲットしか知らない。作れない。
だって、自分ではあの先輩にも褒められた自分のバゲットが「正解」だと思っていたから。
…って、思い出しながら書き出してしまったら、長くなってしまいましたので、
続きはまた次回の後編で(すみません…笑)
